連結納税制度とは、親会社と⼦会社など、会社ごとに個別に計算していた法人税の計算を、
企業グループ全体を一体として一括計算する制度です。
そうすることにより、単体納税制度に⽐べて、企業グループ全体の納税額の節税効果を
期待することができます。
一方で、事務処理の規模が大きくなり、その負担が増大するなどの側⾯もあります。
そうしたメリット、デメリットを総合的に勘案し、慎重な判断が必要になります。
連結納税のポイントとしては、以下の3点があげられます。
(1)国内100%グループ会社のみが対象
(2)基本的に単体申告をベースに連結納税申告書を作成
(3)基本的に連結納税は、法人税※のみが対象
平成22年改正のグループ法人税制の創設により、連結納税と単体納税の差異が縮⼩されています。損益通算(法人税のみ)が可能となる点が連結納税の最大のメリットとなります。
項目 | 単体納税 | 連結納税 | 差異 |
---|---|---|---|
損益通算 | なし | あり | あり |
開始時・加入時の時価評価、法人税欠損金の切捨て | ― | 子法人が時価評価対象法人に該当する場合、時価評価の必要あり、法人税欠損金の切捨てあり | あり |
100%グループ内の受取配当金 | 全額益金不算入 | 全額益金不算入 | なし (H22改正前:あり) |
100%グループ内の寄附金 | 寄附金:全額損金不算入 受贈益:全額益金不算入 |
寄附金:全額損金不算入 受贈益:全額益金不算入 |
なし (H22改正前:あり) |
100%グループ内の資産譲渡損益 | 譲渡損益の繰延あり | 譲渡損益の繰延あり | なし (H22改正前:あり) |
子会社株式の帳簿価額修正 | 寄附修正のみ | 行う(連結開始時・加入時から 離脱時までの利益積立金の増減) |
あり |
中小法人の優遇税制(法人税軽減税率、貸倒引当金法定繰入率、交際費の損金不算入、繰越欠損金の使用制限、欠損金の繰戻還付) | 資本金1億円以下の法人についての優遇制度は、100%親法人の資本金が5億円以上である場合には基本的に適用なし | 連結親法人が優遇税制の対象である 場合のみ適用 |
ややなし(※) (H22改正前:あり) |
連結納税を×3年3月期から導⼊する場合の一般的なスケジュールは、以下の通りです。
事前検討・社内手続
1.手続関連(連結納税開始)
提出が必要な届出書や申請書の把握・作成
2.貴社グループ体制の整備
3.申告ソフトの選定・導入
4.決算・申告実施
決算・申告実施
法人税の場合、更正や修正申告などは連結親法人が⾏うことになります。
しかし、法人税額が変更になると住⺠税・事業税についても変更になるため、結果的に各社で修正申告を行います。
連結納税に加入するとグループ全体の税額が連動するため、グループ会社の中に税務申告の習熟度が低い会社があると、
グループ全体で修正申告が何度も発生してしまう可能性があり、そのための対策が必要でしょう。
連結納税に加入するとグループ全体で税金計算が連動するため、1社の修正はグループ全社の修正へと波及してしまいます。
したがって、連結納税グループ全体での質的向上が必要です。